このブログはkengoshimiz500という、文章力向上を目的としたブログとは違い、音楽についての考え事や、パフォーマンスの投稿、日々の練習の成果を不定期に更新するためのブログにしていく予定。
この録音は2024/1/13に中目黒のkoenで行ったライブパフォーマンスのもの。本来は4chのマルチスピーカー用のシステムのためのパフォーマンス。
レコーディングの問題があり、1.2chは録音できていなかった。幸いなことに3.4cは録音できていたのでSoundCloudに投稿した。
このライブパフォーマンスはラフなアプローチで、ルーパー(のようにしたディレイ)と三味線の相性を確かめるためのものだった。大正琴は補助的に使用した。
このルーパーは2つのディレイが互いにフィードバックし合う構造になっている。足元のスイッチでループの長さをリアルタイムに変えることで、ほぼ無限に鳴り続けるディレイとしても使えるし、ルーパーとしても使用できるようになっている。またフィードバック構造のおかげで、例えば0.1秒程度のループを作った後に、ループの時間を4秒にすると、4秒のループに0.1秒のループが充満することになる。そして4秒で1周期のフレーズを弾くと、二つの時間が重なることになる。前の時間の履歴をある条件下では残す事ができるため、”Time Variation”という言葉をタイトルに記した。
Time Variationである意図としては、まだ印象にすぎないが、日本の伝統音楽は歌いものであれ語りものであれ、芸術として作られたものは時間の変動を推進力にしているように感じられる。これまでの時間の進み方とここからの時間の進み方をガラッと変えて新しい展開を生み出す。
私は、過去の時間の進み方や、それまでに使われた要素を引き連れたまま展開を劇的に変更するアプローチをとってみたいと考えた。それ以上に考えたことはない。
4chにした意図は特にない。せっかくスピーカーを4つ持ってきたのでマルチチャンネルをやろう、と思ったくらいだ。意図がないので複雑なことは何もしていないし、パフォーマンスの内容とリンクしていない。
なぜ4つのスピーカーがあったのかというと、2つのスピーカーでは非力だと考えたからだ。
この日koenで私を含め2組がライブパフォーマンスをすることになっていた。私がスピーカーを準備したのだが、2つのスピーカーだとあまりにも非力すぎるため、4つのスピーカーを持っていき、設置。さらに私のPCでMaxを立ち上げスピーカーを4台のスピーカーを制御していた。といってももう1組の機材から出力されるステレオ入力を4台のスピーカーにに割り振るだけだった。
このパフォーマンスで気に入っている部分は、この録音のはじめのセクションだ。三味線の音程をGから少しずつ上げつつ、同じリズムで弾き続けることで、殺伐とした雰囲気のある伴奏が仕上がる。これはパフォーマンスの前日に1時間くらいこの機材セットを触ってみて見つけたものだ。めちゃくちゃな音程ではあるが音楽的なループで仕上がっている伴奏に特徴的でない旋律を重ねることで生まれる様子が面白いと思った。この旋律は2回か3回繰り返した。
ルーパーと三味線の相性はそれほど良くない。上記のようなセクションが生じることに関しては有用であるが、ループだけでなく、ダイナミックな時間変化も作りたいのだ。ループのスピードを段々早くしたりして緊張感を高めつつ、スパッと音を消したりする機能は必要そうである。
音楽の内容についてもう少しだけ書けば、このライブパフォーマンスでは以下の音階を使用している。
第2陽音階や第4陽音階は私の師匠である宮内基弥さんが提出したもので、都節音階については上原六四郎が提出したものとして考えて使っている。
ほとんどのフレーズは長唄の練習で覚えた手を使ったり、それを簡略化したもの、もしくは聞いた事がある長唄の旋律を自分なりにその場で弾いたものなので、都節音階にしろ、陽音階にしろその用法はほとんど長唄由来だと言える。
音階の詳しい話は長くなる上に、提出された音階の成立に関する完全な理解がまだ自分は出来ていないため(体ではなんとなくわかるんだが)いずれ別のタイミングで記述することにする。
テストのために作った記事が、こんなにも長くなってしまった。このブログは過程を更新するためのものであり、完全な記事が書かれるはあまりないだろうが、あたたかい目で見守ってほしい。